-
留学の心得
-
短期留学
2025.07.18

アイエスエイでは、プログラムを通して気づいたことや学んだことを言葉や形にして振り返り、周囲に伝えていくことを推奨しています。留学して楽しかった!で終わらせず、短期留学を通して得られた経験を成長に変えるために、留学のあとにやるべき「振り返り」について解説します。
目次
Summary
-
人の記憶は毎日リセットされるから、忘れることは仕方ない。
-
起こったことを書きとめるだけではなく、ストーリーを残そう。
-
振り返ることで、実は自分の身に起こっていた「変化」に気が付くことができる。
-
「言葉」や「気持ち」など目に見えないことも記録しよう。気づきの数も増え、質も高まるはず。
今回のナビゲーター
都内の一年留学を行う私立高校の元教員。探究学習とグローバル教育を日本中に広めるべく、アイエスエイの講師として活動中。
楽しかった留学もすぐに忘れてしまう?忘れることは仕方がない、人の記憶の仕組み

1日経つと記憶から70%の情報が失われてしまう。
これはヘルマン・エビングハウスさんという心理学者が行なった研究により明らかになった法則です。つまり、人は何もしなければ記憶はどんどんと無くなっていってしまうものだ、ということを表しています。それは本来、次の新しい情報を入れるために頭の中を一旦すっきりさせてくれる記憶リセット機能なのですが、リセットされる中で大切な記憶も同時に失ってしまうことになります。
さて、冒頭から難しい話をしてしまいましたが「忘れてしまうことは仕方がない」とは言ったものの皆さんの中にも「忘れたくない」ことはありますよね。留学に置き換えて考えてみましょう。留学は特別な体験です。現地で出会った人、行なったこと、お話したこと、それらすべてがキラキラした宝物のようで何一つ忘れたくない、すべて自分の養分として蓄えておきたい。そう考えるのが普通だと思います。そこで今回は忘れたくない体験を保存するための方法「振り返り」についてお話しようと思います。
忘れたくないこと、忘れるべきではないこと
皆さんの記憶の中に残りやすいことって何でしょう。
それは「心が動いた出来事」ではないでしょうか。「感動した」「とても怒った」「悲しかった」「楽しかった」そんな心が動いた瞬間の出来事(事実)は忘れにくいものです。
皆さんにもそんな心が動いた出来事はありますか?もし心当たりがあれば、次にその出来事を誰かに伝える際、きちんと伝えられるかどうか考えてみてください。その時どんな言葉のやり取りがあったでしょうか。そこはどんな場所・時期・時間でしたでしょうか。その出来事の際あなたはどう心が動いたのでしょうか。

実は印象的な出来事も事実だけは覚えていても、細かい部分となるとあまり覚えていなかったりするものです。実はこれが振り返りでは非常に重要です。先ほど挙げた「具体的な言葉」や「気持ち」という形にならない・目に見えないものは「事実」や「出来事」よりも早く記憶から消えてしまうのです。そのため、振り返りではこれらの「記憶から消えやすいもの」に重きを置いて記録することで、将来この「振り返り」を振り返る際、鮮明に記憶を呼び起こすことができるようになるはずです。
決して入試や就職のために留学に行くわけではないと思いますが、結果として有効であることがあります(留学先での出来事や出会いがきっかけとなって将来のやりたいことが見えてくるなど)。その際、自分のきっかけとなった出来事を誰かに話す際は「目に見えない」ことも話す必要があります。そのため「体験」と「振り返り」は必ずセットでなければなりません。せっかくの貴重な体験が1日で70%も失われてしまうのはもったいないですからね。これが「忘れるべきではないこと」です。
振り返りにストーリーを

振り返りが必要な理由、そして何を振り返るべきか、という話をしてきました。次は「どのように振り返るか」をお話ししていこうと思います。
ポイントはシンプルに「ストーリーを作ること」です。
多くの人が印象的なその「出来事だけ」を残してしまいがちです。しかしそれでは振り返りを見返した際に「で?」「それが何?」となっています。せっかく残す記録ですから、後々見返した自分に「気付き」が与えられるような振り返りが良いですよね。そこで、その出来事の「前後の状態」も併せて残しておくことで、ストーリーが生まれます。
例えば「何か大きな失敗をしてしまった」という出来事を例に出すと
失敗前の状態:失敗が怖くて挑戦することもできなかった
失敗後の状態:どうしたら失敗するかが分かったので、挑戦がしやすくなり、○○や○○にも挑戦することができた
このように出来事の前後の状態も残しておくことでその時は気が付かなくても後々になって「自分はこんな成長をしていたのか!」と気づくきっかけになるはずです。
今書いた内容をもとにして、ISAが振り返りに使っているワークシートも載せておくので振り返りをしたい人は参考にしてみてください。
アンロックされた行動・挑戦を実行してみよう!
最後に、振り返りを書き終えた後のことについてもお話しようと思います。
多くの人が留学を終えて「良い体験だった!」「楽しかった!」「成長した!」とポジティブな印象を持って帰ってくる留学ですが、そこで終わっている人も少なくありません。これでは非常にもったいないです。上記振り返りが書けたのであれば何かしら自分に「変化」が起こったということです。つまり今まではできなかった何かができるようになったということです。それは非常に小さいことかもしれません。しかしそれを実行するか否かでは大きな差があります。ぜひ振り返りを書いた後は「体験によってアンロック(解放)されたアクション」を実行してみてください。それによってさらにできることが増えていくはずです。
ぜひ今回コラムでお伝えしたた「体験+振り返り+挑戦」を繰り返し、去年よりも今年、今年よりも来年、できることが増えていきますよう陰ながら応援しております。
アイエスエイの短期留学プログラムでは、帰国後に皆さんから届いた「振り返り」をほかの参加者と共有する機会を設けています。自分以外の参加者の考えや学びに触れることで、新たな発見や視野の広がり、チャレンジへの勇気などを得られるチャンスとして、「振り返り」をぜひ活用してみてください。